本山荻舟 飲食事典
2006年 10月 12日
A4判604頁、内容は一見辞書のようだが、単なる用語の解説に留まらないので「辞典」ではなく「事典」。
ペン細画を眺めているだけでも楽しく、小学生の頃「学習国語辞典」を読み耽っていたのを懐かしく思い出す。
入手してからというもの、604頁もあるこのデカい本を寝床で読み耽る日々が続いている。
本山荻舟(もとやま・てきしゅう)、本名は仲造、高等小学校卒業後、新聞記者生活の傍ら「剣豪物」の大衆小説や、食にまつわる随筆等を著した他に、劇作家としても知られている。
池波正太郎の師である長谷川伸と交流があり、料亭を経営して自身も包丁を握ったそうだが味のほうは?だった、というエピソートを、池波氏のエッセイで見る事が出来る。
この事典は、ご本人が執筆を担当した1934年刊行の平凡社「大百科事典」から戦後の「世界大百科事典」に至る20余年の研究成果の集大成で、刊行を見届けることなく昭和33年(1958) 歿。享年77歳。
刊行されて約半世紀を経た今日でも食に関する字引き書としての地位に揺るぎがない。
そんな大偉業を成し遂げた荻舟先生に最敬礼だ。
ついでに書くが、一見客だというのに「お金は後でいいですよ」と直ちに発送の手配をしていただいた京都の老舗、キクオ書店にも最敬礼!
飲食事典 全一巻 平凡社
昭和33年12月25日 初版発行
発売当時の定価 2,200円