趣味の手作りログハウス、音楽、愛車、出張先での出来事他、ランダムに書き綴っていきます。ちなみにHNは大好きなBeachBoysのヒットナンバーから取りました。


by funfunfun409
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カテゴリ:読書( 5 )

魯山人の料理王国

私事で申し訳ないが、記憶は20年前に遡る。
地下鉄駅の中間にあった場末の小さな居酒屋。
「酒肴処 あん」というカウンター席のみの店、40代半ばの店主は京美人で、何故か私に対しては自分が作って出したものにあれこれ講釈を垂れたがる。
他の客に対してはそんな素振りは決して見せなかった。
相手は京都の実家から仕送りを貰いながらのド素人商売、こちらは右も左も解らぬ駆け出し営業マン、親子ほどの年齢差がありながらも互いに相通ずる部分があったのだろう。
ある日、帰り際に手渡されたのが函入りの魯山人の料理王国
「この人の生き方、特に料理に対する心構えに深く共鳴してこの商売を始めた」との事。
北大路を「ほくだいじ」としか読めなかった私にでさえも面白くてたまらず、次に寄るまでの半月間、家で何度も読み返したものだった。

納豆を拵えて(よく練って)「納豆の茶漬け」、海苔を片面だけサッと炙って揉みかけ、醤油をトトトと垂らして脇から煎茶を注ぐ「海苔の茶漬け」をやってみたりと、イッパシの「通」気取りだ。
定価1,500円と決して高い本でもないのに、当時は買う気が起こらなかった。
多分、本質的な事柄を簡潔にズバッと表現してしまう思い切りの良さに、深入りしたら絡め取られちゃうんじゃないかと怯えていたのだろう。
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函と背表紙
書の知識なんて全くないけれども「料理王国」の絶妙なバランスには惚れ惚れする。
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フランスの高級レストランで、鴨をボイルしたままの状態で持ってこさせ、店のルールを無視して豪胆にも持参の山葵と醤油で食べた、という稚気溢れる逸話はよく知られている。
「美味しんぼ」の海原雄山が同じような事をやっていて、「郷に入れば郷に従え」という息子の山岡史郎の根回しに屈服するシーンでまとめていたが、魯山人が言わんとしていた事とは全く別の内容だ。
ただし、これは劇画の限界というか宿命のようで、原作者が都合の良いように引用しただけ、というわけでは決してない。

話は戻るが、結局京美人の店は2年と続かなかった。
私が金を払ったのは最初の「ドライカレー」500円だけで、後は全く受け取ろうとしない。
閉店後も年賀状のやり取りが何度か続いたが、そのうちプッツリ途絶えてしまった。
もし会えたら心から感謝の意を伝えたいのだが、もうそのすべがない。
今どうしているのかなぁ~。

我々庶民にとって「魯山人」は伝説の人。
小皿一枚で何十万の世界だ。
散逸していた彼の著作を愛弟子である平野雅章氏が精力的に書籍化してくれたお陰で、類い稀な魯山人の魅力を窺い知る事が出来る。
中公文庫の「魯山人味道」、「魯山人陶説」、「魯山人書論」、私はこれを「魯山人三部作」と勝手に名付けている。
毀誉褒貶著しい人なので、愛弟子の賛辞だけでは物足りない向きには、1983年刊の「別冊太陽」の魯山人特集、新潮文庫の白崎秀雄著「北大路魯山人」がお勧め。
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by funfunfun409 | 2006-10-18 20:33 | 読書

本山荻舟 飲食事典

「食」に関する本を読んでいると、用語の引用先として紹介される事が多く、出所が省略されていても、明らかにこの本からの引用であると判るケースが少なくない。

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A4判604頁、内容は一見辞書のようだが、単なる用語の解説に留まらないので「辞典」ではなく「事典」。
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ペン細画を眺めているだけでも楽しく、小学生の頃「学習国語辞典」を読み耽っていたのを懐かしく思い出す。
入手してからというもの、604頁もあるこのデカい本を寝床で読み耽る日々が続いている。

本山荻舟(もとやま・てきしゅう)、本名は仲造、高等小学校卒業後、新聞記者生活の傍ら「剣豪物」の大衆小説や、食にまつわる随筆等を著した他に、劇作家としても知られている。

池波正太郎の師である長谷川伸と交流があり、料亭を経営して自身も包丁を握ったそうだが味のほうはだった、というエピソートを、池波氏のエッセイで見る事が出来る。

この事典は、ご本人が執筆を担当した1934年刊行の平凡社「大百科事典」から戦後の「世界大百科事典」に至る20余年の研究成果の集大成で、刊行を見届けることなく昭和33年(1958) 歿。享年77歳。
刊行されて約半世紀を経た今日でも食に関する字引き書としての地位に揺るぎがない。
そんな大偉業を成し遂げた荻舟先生に最敬礼だ。

ついでに書くが、一見客だというのに「お金は後でいいですよ」と直ちに発送の手配をしていただいた京都の老舗、キクオ書店にも最敬礼!

飲食事典 全一巻 平凡社
昭和33年12月25日 初版発行
発売当時の定価 2,200円

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by funfunfun409 | 2006-10-12 21:52 | 読書

佐藤隆介の本

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① 池波正太郎 梅安料理ごよみ (佐藤隆介・筒井ガンコ堂)講談社文庫
② 池波正太郎への手紙 (佐藤隆介)ゴマブックス
③ 定食屋の定番ごはん(佐藤隆介・大庭英子) オレンジページブックス
④ 鍋奉行になる(鉢山亭虎魚)同上
⑤ 日本口福紀行 がんこの卓上 (佐藤隆介)NHK出版


「読み始めたら止まらない」
そんな充足感を久しぶりに味わっている。
佐藤隆介氏については昨年大晦日の記事(池波正太郎の食卓)で一度触れたが、「そろそろ別の本も・・・」と、先週末に在庫のありそうなものを全部注文したら、在庫切れ・絶版が多く、ここ4日間で入手出来たのは上記5冊のみ。

は池波作品の「仕掛人 藤枝梅安」シリーズの中から食・料理に関する部分を抽出し、該博な知識を以ってその歴史的背景を検証する。
筒井ガンコ堂の話も同じく興味深いが、やはり冒頭40ページの「池波正太郎・梅安を語る」(佐藤隆介・聞き書き)が白眉。

実際手にするまでは「ひょっとして決別の書か?」と思っていた
池波正太郎の一連の食味エッセイで取り上げられたお店を再訪し、自分も含めてその後どうなっているかを亡師に現況報告する、という形式が斬新で、この手に関してはやはり「愛弟子」の独壇場。
因みに執筆当時の佐藤隆介は67歳、池波正太郎が没したのも67歳。
紹介している53軒は、連れられて行った店、自分が亡師に紹介した店に加え、亡師が知らない店も含まれる。
(もし、彼岸への宅急便があるなら、これを先生にお送りするのに…)(金谷の伊賀牛)。
これ以上の説明は不要だろう。

※「日刊ゲンダイ」平成15年10月~16年4月までに連載したものを単行化に伴い全面的に書き改めたもの。

で、成り行きで注文した>。
はシンプルでダイナミックなレシピ群、この本を手にしたその日に牛肉とにんにくの焼きめしを作ってしまった。
ちなみに佐藤隆介はコラムと自ら吟味した特撰食材紹介コーナーで登場。
大庭英子さんとは相通じる部分が多かったに違いない。

の著者「鉢山亭虎魚」は落款や書、焼き物の分野でも活躍されているご本人の別名で、はちやまていおこぜと読む。
コラムに徹したとは違い、ここには細部に亘って「鉢山亭虎魚」の世界が噴出している。
中身をお見せできないのが残念。
この内容・ボリュームで680円は安過ぎるのでは?

は今日入った本なので、実はまだ3分の1も読んでいない。
ANAの「翼の王国」2000年5月~2003年3月掲載分を纏めたもの。
自ら探し回った「うまいもの」33篇、得意の薀蓄話に浸っていると、自分も一端の物知りになったような錯覚を覚えてしまうものだから困る。
巻末には、お店の写真や住所も掲載されているので、ガイド本としても役に立つ。
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by funfunfun409 | 2006-09-21 19:46 | 読書
アラームをセットし忘れていたが5時過ぎに目が覚める。
モンカフェを飲みながらフェリー会社のサイトを開くと、
“03月21日の運航は低気圧の影響により全便欠航となっております。”
だとさ。
隣室に居る同行の講師に連絡すると「そうかい、じゃ、ネンネだね」。
稚内抑留2日目決定。2度寝してから朝風呂に行く。
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ロシア語併記の表示。
サウナに入って酒を抜き、フロントで追加の宿代を払う。
休日で掃除が入らないのでずっと部屋にいても構わないとの事。
それにしてもWBCの優勝は感動的だった。
危ない場面も何度かあったが、常に攻めの姿勢を貫いたのが良かった。

番組が終わってから又風呂に入って買い物に行き、持ってきたレシピ本を読む。
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新・家庭料理、続新家庭料理 (丸元淑生著)
この本を買ったのは15年くらい前で、当事20代半ばの私、モロ影響を受けた。
エレクトロラックスの冷蔵庫は買わなかったけれども、ステンレス多層構造鍋で色々作ったものだ。
今となっては調理法にやや怪しい部分があるし、レシピ通り作っても美味くない事が多々あるけれども、このように理路整然と展開されると私は弱いのだ。
この本を応用して色々試す積りなのだが、さて、果たして明日の朝にフェリーが出るかどうか?
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by funfunfun409 | 2006-03-21 16:03 | 読書

ここ4日間に読んだ本

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① 「散歩のとき何か食べたくなって」池波正太郎(新潮文庫)
② 「昔の味」池波正太郎(新潮文庫)
③ 「池波正太郎の食卓」佐藤隆介ほか(新潮文庫)
④ 「不味い!」小泉武夫(新潮文庫)

正月休みで近所の書店をうろついていると、20代後半に愛読していた①と②を見つけ、懐かしさも手伝って再び買い求めた。
ちなみに池波正太郎の時代小説は1冊も持っていない。
10数年を経て改めて読むと、食を通じて自分を語る池波ワールドがさらに身近に感ぜられる。
自分も「去りし時を忍ぶ」年齢に達しつつあるのかと思うと「おちおちしていられない・・・」といったところか(笑)

さて・・・
一昨日「味と映画の歳時記」か「池波正太郎の銀座日記」を買い足そうと再び書店に訪れて目に留まったのが③。
佐藤隆介氏、そんな人知らなかった。不覚だった。
「稀代の食道楽」であった池波正太郎の書生として長らく時を共にした佐藤隆介氏と、池波氏が生前懇意にしていた料理人らにより、池波作品に登場する料理の数々をレシピ付きで再現してゆく。
知られざるエピソードも多数、佐藤氏の文体も敢えて池波氏のそれに似せているあたり、「亡師」に対する敬愛の情が見て取れる。
池波正太郎の食味エッセイを読み込んだファンにとっては「こたえられない・・・」1冊であろう。
(池波作品を熟読している事を前提として書かれている、いわば池波ファンのオタク本)

小泉武夫氏は生家が造り酒屋で、後継ぎとなる筈が周囲の期待を裏切って学者の道を歩んでしまったという変り種。
醗酵学の権威でもあり、珍しい食物を求めて世界中を飛び回る自称「食の冒険家」。
私が最初に読んだ本は確か講談社新書の「酒の話」だったと記憶している。
新書らしからぬユーモアな文体が気になって調べてみたら多くの著書があり、専門分野の「醗酵」に基づくものが多い。
「美味い」料理や飲食店にまつわる書物は星の数ほどあれど、「不味い」食べ物を紹介するのは勇気が要る。
④の「不味い!」は、どこそこの店がどうといったものではなく、自らの豊富な体験談を引き合いに出しながら、食材の広域流通がもたらした「負」の部分をキッチリ解き明かしてくれる快著だ。
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by funfunfun409 | 2005-12-31 19:31 | 読書